8月17日、四国若手議員の会OB会と「地方自治研究会」の合同研修会で高知県南国市を訪れました。
今回のテーマは、南国市の農業施策と国営緊急農地再編整備事業、いわゆる国営ほ場整備事業です。
四国内の自治体議員らとともに、担い手不足が進む中で農地をどう守り農業所得をどう確保していくのかを学びました。
南国市は、高知県内でもまとまった平野部を持ち水稲や施設園芸が盛んな地域です。
シシトウは全国トップクラスの産地で、水稲も県内有数。一方で、農業の担い手減少と高齢化そしてほ場整備率の低さという課題を抱えています。
基幹的農業従事者は平成22年の2,296人から令和7年には1,074人まで減少。65歳以上が67%を占めています。
また国営ほ場整備事業導入時には、30a程度以上のほ場整備率が全国65%、高知県33%に対し、南国市は7%だったとのことでした。
そこで南国市では、国営緊急農地再編整備事業によって小さく分散した農地を大区画化し、農道や水路を整備。
さらに「換地」によって担い手ごとに農地をまとめ、少ない農業者でも効率的に耕作できる環境づくりを進めています。
能間工区では担い手への農地集積率が90.2%に達していました。
私からは、まず整備後の農地の大きさについて質問しました。
大洲市でも現在、県営のほ場整備事業が菅田地区の約37haで進められています。
水稲を中心に、30aから60a程度の区画を想定していることから、南国市ではどの程度の区画を考え、どのような作物を想定しているのかを伺いました。
南国市では、地域条件によって区画の大きさはさまざまで一律の標準区画を設定しているわけではないとのこと。
また、ほ場整備後も水稲だけに特化するのではなく、露地野菜や施設園芸を組み合わせた複合経営を目指しています。
現在の農家の多くは水稲農家であるため、いきなり水稲をやめて別の作物へ転換するのではなく、水稲を続けながら裏作や輪作で野菜を導入できないか検討しているとの説明でした。
ここは大洲市の今後のほ場整備を考える上でも参考になります。
「区画を大きくすること」が目的ではなく、その農地でどう所得を上げるのかまで考える必要がある。
改めて感じた点です。
もう一つ、私が注目したのが農業者数と農業産出額の関係です。
南国市の基幹的農業従事者は現在1,074人。
大洲市も約1,100人と、ほぼ同じ規模です。
大洲市でも農業従事者の高齢化と減少が進んでいますが、一方で農業産出額は平成26年の約80億円から近年では約124億円まで増えています。
もちろん物価上昇などの影響もありますが、ブランド化や6次産業化、農商工連携などによって、
「農業者が減る=地域農業の生産額もそのまま減る」とは限らない
ことを示す数字だと考えています。
そこで南国市では、農業者が減る中で農業産出額や所得がどう変化しているのかを質問しました。
残念ながら、その場では具体的な産出額の推移について数字を持ち合わせていないとのことでした。
一方で、南国市からは、シシトウをはじめとする施設園芸では単位面積当たりの収量が高く、小規模な農家でも比較的高い収益を上げられるケースがあるとの説明がありました。
ここも重要です。
「大規模化」だけが農業を残す方法ではありません。
広い農地を少ない担い手で耕作する農業がある一方、施設園芸のように限られた面積から高い収益を生み出す農業もある。
南国市では、その両方を組み合わせようとしていました。
南国市では、高知県の農業データ基盤「SAWACHI」も活用しています。
ハウス内の温度、湿度、CO₂濃度、日射量などをデータ化し、出荷量などと照らし合わせることで、どのような環境で収量が増えるのかを分析します。
これまでベテラン農家の「経験と勘」に頼っていた部分を見える化することで新規就農者が技術を習得しやすくなる効果も期待されています。
担い手不足への対応は、単に人を増やすことだけではありません。
少ない人数でも農業を続けられる仕組みに変えていくこと。
これも大きなポイントだと感じました。
大規模化だけでは地域農業は守れない
今回、特に印象に残ったのは、南国市側から「大規模化だけでは農業のさまざまな役割を十分に果たせない」という趣旨の説明があったことです。
農地には食料を生産するだけでなく、水路や農道の維持、洪水防止、景観、地域文化、コミュニティの維持など、多面的な役割があります。
だからこそ、
大規模な担い手への農地集積を進める。
一方で、小規模農家や中山間地域も守る。
さらにスマート農業で生産性を高める。
どれか一つではなく、組み合わせていく必要があります。
四国若手議員の会OB会の研修では、それぞれ地域事情の異なる議員同士で質問や意見を交わすことができました。
人口減少や担い手不足は、南国市だけでも大洲市だけでもない四国の多くの地域に共通する課題です。
大洲市でも、これから農業の担い手はさらに減少していくことが予想されます。
その時に、
「誰が農地を守るのか」
「どこまで集積するのか」
「何を作れば所得を確保できるのか」
「小規模農家や中山間地域をどう残すのか」
ここまで含めて考えなければなりません。
南国市の取り組みと四国各地の議員との意見交換を、大洲市のこれからの農業を考える材料として持ち帰りたいと思います。
今回の研修にあたり、丁寧にご説明いただいた南国市の関係職員の皆さま、研修受け入れにご尽力いただいた南国市議会をはじめ関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
また、研修の企画・運営に携わっていただいた四国若手議員の会OB会の皆さまにも御礼申し上げます。
現場の課題や具体的な取り組みを直接伺うことができ、大変有意義な研修となりました。
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